Q 労働者派遣事業の許可申請にあたって、3年以上の「雇用管理の経験」のある派遣元責任者にキャリアコンサルティング担当者を兼任させようとしたところ、「人事担当の職務経験」の有無についての確認を労働局から受けました。どういうことでしょうか。
A 派遣元責任者に選任するためには、成年に達した後、3年以上の「雇用管理の経験」のある者などの要件を満たす必要がありますが、「雇用管理の経験」とは、具体的には以下のような内容です。
この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主 (法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第 41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できる こと、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者であったことをいう。(業務取扱要領、P61)
このように、「人事又は労務の担当者」とされていることから、派遣元責任者は一定の労務管理の担当者としての職務経験があれば、人事に関する職務に従事していた経験がなくても就任することができます。
一方、キャリアコンサルティング担当者については、以下に該当する者でなければならないとされています。
①キャリアコンサルタント(国家資格有資格者)
②キャリアコンサルティングの知見を有する者(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者等)
③派遣先との連絡調整を行う営業担当者
②キャリアコンサルティングの知見を有する者(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者等)
③派遣先との連絡調整を行う営業担当者
②に「人事担当の職務経験がある者」とあることから、「キャリアコンサルティングの知見を有する者」としてキャリアコンサルティングの担当者に選任する場合には、人事担当の経験が必要とされるため、派遣元責任者の要件を満たしたとしても、必ずしも同時にキャリアコンサルティング担当者の要件を満たすとは限りません。そのため、労働局から確認が入ったものと思われます。
もちろん、雇用管理経験に人事に関する経験が含まれていなくても、①キャリアコンサルタント有資格者、③派遣先との連絡調整を行う営業担当者としての要件を満たしていれば兼任することができますので、どのような立場で担当者に選任されるのかは十分留意したいものです。
(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)