埼玉県知事選は6日が投開票で、現職の大野元裕氏が再選された。これだけなら何の問題もないのだが、肝心の投票率が23.76%と知事選では全国最低を記録。それも2011年に同じ埼玉県知事選で記録した24.89%を更新したものというから、一県民としてウーン。映画「翔んで埼玉」を笑えない。
今回、最低を更新した理由はわからないでもない。与野党が現職に相乗りし、他の2候補は失礼ながら泡沫的存在。手堅いコロナ対策で難局を乗り切った現職知事には、とりあえずケチをつけるところもない。最初から結果の知れている選挙に有権者、とりわけ「埼玉都民」の多い若者層が興味を持つはずもない。当初から「最低投票率を更新するのでは」と危惧していたが、不幸にも的中してしまった。
それにしても、若者はなぜ投票に行かないのだろうか。大学をはじめ、日本ほど教育費の高い国は少ない。就職しても非正規の低賃金では、結婚もできない。職場はいじめ・嫌がらせの巣窟。そして、老後の年金は......。なぜ、「世の中、おかしい」と思わないのだろうか。なぜ、「怒ってるぞ」と意思表示をしないのだろうか。このままでは、高齢者寄りの政策が改まるはずもない。
「知事選なんかに投票しても、世の中は変わらないよ」というお決まりの文句が聞こえてきそうだが、その延長線上に国政選挙があることも確かだ。何が不満かよくわからないまま、とにかく建造物を壊し、"国家権力"の象徴に石を投げた若者OBとして、不安が募る。(本)