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2023年6月29日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」181・社会保険の賞与に係る報酬の取り扱いQ&A②

Q 社会保険の賞与に係る報酬の取り扱いが変更された後、新たに賞与が制度化された場合は、どのような手続きとなりますか。

koiwa1.png 今回は、前回ご紹介した、令和5年6月12日に新たに事務連絡「『健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて』の一部改正について」に関するQ&Aの内容の続きです。

 前回触れた変更点の②は、取り扱い変更の適用日(平成31年1月4日)以降に、新たに諸規程に「賞与」が規定された場合は、年間を通じ4回以上の支給について客観的に定められたときであっても、次期標準報酬月額の定時決定による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しない、というものでした。この内容は少し難解ですので、文字を追いかけるだけでは理解しづらいかもしれません。そこで令和5年6月12日に出されたQ&AのQ4では、以下のような問いが設定されています。

Q4 本通知による改正後の課長通知1の(3)について、新たに賞与の支給が諸規定に定められた場合、次期標準報酬月額の定時決定までの間は、具体的にどのような取扱となるのか。


 新たに賞与が新設された場合は、諸規程で年間を通じて4回以上の支給が客観的に定められている場合であっても、実際にまだ支給実績がないことから賞与に係る報酬額を算定することが困難であることから、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月、9月の随時改定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、「賞与」として取り扱い、賞与支払届を提出することになります。

 言葉の意味が分かりにくいかもしれませんが、新たに制度化された賞与と、「通常の報酬」「賞与に係る報酬」「賞与」は別物だと考えると理解しやすいでしょう。新たな賞与は、支給実績がないことから、まだ「賞与に係る報酬」「賞与」のどれに該当するかが明らかではないため、ひとまず定時決定が終わるまでの間は、「賞与」として扱うことになります。

 そして、定時決定によって新たな標準報酬月額が適用された際には、諸規定や支給実績などに基づいて、「賞与に係る報酬」「賞与」のいずれに該当するのかを判断し、「賞与に係る報酬額」に該当する場合については、7月1日より前の1年間に受けたであろう賞与の額を12で除して得た額が該当の報酬額として算定されることになります。言葉の表現だけを見ていると難解に感じますので、ぜひ実際の賃金台帳などと向き合って考えてみたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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