働く個人が強くなるために
著者・北野 唯我
ポプラ社、定価979円(税込)
書名から、就職・転職を上手く乗り切り、出世するための遊泳術を想像するかもしれないが、著者の意図は少し違うようだ。「仕事ができる人・強みを伸ばせる人になる方法」を意識しながらも、(組織がどうであれ)個人がいかに強くなるかという点に軸足を置き、いわば哲学エッセイにも似たキャリアガイドが綴られている。
ビジネスの価値は「お客様から喜ばれること×周囲が反対する仕事」で導かれると示したうえで、仕事の創造性は「盗み」(先行者の技術をコピーし、自分のアウトプットに応用する動き)に宿ると語り、「模倣」(情報をそのままパクる行為)との違いに「意志」の有無を指摘する。加えて、「言われたことができる人」と「工夫できる人」の違いに「目標意識」の差を挙げ、目標設定の精度を上げるTIPSを公開している。
また、市場の変化に対応するフォーメーションチェンジこそ戦略人事の要であり、年功序列は論外だと自社での実践を紹介。翻って読者には「どこで働いていても抜擢される人材になりましょう」と誘いかけている。
(久島豊樹/HRM Magazine より)