Q 労働者派遣事業の許可更新をするにあたり、申請期限までに法人税関係の書類を提出できない場合に提出を猶予される場合があると聞きましたが、どういうケースでしょうか。
A 労働者派遣事業許可の有効期間の更新申請をする際には、財産的基礎要件を確認するための添付書類として、最近の事業年度に係る決算書類、法人税の確定申告書、納税証明書を提出する必要があります。しかし決算書類は完成しているものの、法人税関係の書類を添付できない場合があります。そのひとつとして、「申告期限の延長の特例」を受けているケースがあります。法人税の申告と納付の期限は、事業年度終了翌日から2か月以内となっています。しかし一定の事情がある場合には所轄税務署長に対して、申告期限の延長を申請することができます。それが「申告期限の延長の特例」です。
定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請(国税庁ホームページより)
例えば定款で、定時株主総会の開催が事業年度終了3か月以内とされていた場合、決算は事業年度終了後に定時株主総会の承認により確定しますので、申告期限の2か月以内を過ぎてしまいます。しかし、定款でこのような定めをすることは、法的には問題ありませんので、手続きの整合性を保つために申告期限の延長を行うことになります。申告期限の延長の特例を受けていることで、派遣事業許可の更新申請期限が到来してしまう場合には、貸借対照表などの決算書類は提出した上で、法人税関係の書類の添付の猶予を受けることが可能となります。
この場合、税務署に提出した申請書(写)とともに申立書を提出しなければなりません。申立書には、法人税の納税手続きが完了しておらず、法人税に関する書類を添付できない旨を記載し、納税手続きについては、申請期限延長の特例申請をしている旨、○年○月○日株主総会における決議後に必ず提出する旨などを記載することになります。例外中の例外のケースといえますが、該当する場合には細心の注意を払って慎重に対応したいものです。
(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)