新型コロナが8日をもって、感染症法の2類から5類に移行した。これまでの「特別な」疾病から「普通の」疾病になったわけで、さまざまな場面で変化が起きるだろう。なにせ、3年以上もの間、私たちが闘い続けてきた相手なのだから。
この連休期間中、多くの観光地がにぎわい、帰省などの家族連れで交通機関は満員になった。メディアはこぞって、「コロナ期間中に我慢してきた"リベンジ消費"」「コロナのトンネルを抜けて日常が戻った」と伝えた。近場でも同様で、好天が続いたこともあり、公園などではバーベキューを楽しむテントの大群が広がっていた。
3年前の連休を思い出す。国内外のあらゆる繁華街や行楽地から人影が消え、あたかも目に見えない「コロナの網」が国全体を覆っている、SF的な気分になったものだ。十分な対応策も治療薬もなく、感染に対する恐怖が先に立ち、「正しく」恐れることを知らなかったことから来る異常な緊張感に支配されたとしか思えない。
私も外出自粛を余儀なくされ、アルベール・カミュの「ペスト」を再読したり、「予言」漫画として注目された「リウーを待ちながら」を読んだりした。読み進めながら、パンデミック下の人々の意識や行動にわが身を重ねてみた。コロナという「不条理」にどこまで「誠実」に向き合えるのか、自分自身への実験にも近かった。
改めて振り返ると、満足とはほど遠い後悔が先に立つ。結局、なんの学習効果もないまま、次の「不条理」(パンデミック、大災害、戦争など)に直面すれば、また同じ右往左往を繰り返すのだろうか。そんな自問自答をしながら公園を歩くと、子供たちの歓声がそのまま「希望」のように聞こえた。やはり、こうでなくちゃ。(間)