自民党の礒崎陽輔首相補佐官(当時)が2014年当時、放送法の「政治的公平」に関して、テレビ番組に「解釈変更」という名の圧力をかけられないかと相談した資料が野党議員にすっぱ抜かれ、大きな問題になっている。これを最初に聞いた時、私はもう一つの事件を思い出した。
同じころに大西英男議員が党内の勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告収入をなくすればいい」と発言した問題で、両者には明らかに共通項がある。2人とも安倍政権を支えていたガチガチの保守派であると同時に、政権批判するメディアを「懲らしめる」「番組が不公正」と言い掛かりを付けている点だ。14年暮れに総選挙があったことから、メディアをけん制する意味合いがあったとしても、きわめて露骨だ。「変なヤクザにからまれたようなもの」とはよく言ったものだ。
政権批判を「けしからん」とする姿勢は、驕り(おごり)以外の何物でもない。彼らは選挙という民主主義の手続きに基づいて議員になったにもかかわらず、同じ民主主義に基づいて政権批判するメディアにいちゃもんを付けるのは、自己矛盾もいいところ。あるいは「オレが国を動かしている」と大きなカン違いに染まっていたからかもしれない。
およそ謙虚さのカケラもないこの種の議員を「懲らしめる」にはどうすればいいか。おそらく、言論で批判してもなんの痛痒(つうよう)も覚えない人たちだ。やはり、落選してもらうのが一番だろうが、選挙でしか意思表明できない国民にとって、これも実質的にハードルが高い。どこかの新聞テレビで時間無制限の「公開討論会」をやってもらえないものか。かなりの視聴率になると思うのだが。(典)