「女性のキャリア」を楽しく真面目に考察
著者・安齋 徹・小早川 優子・米倉 史夏
樹村房、定価1980円(税込)
『月刊 人事マネジメント』の連載で取り上げた11編を含む計24のアニメ映画作品を題材に「人生100年時代の女性のキャリア」(本書副題)を読み解いていく柔らかくも真面目な1冊。
「ヤングの生き方」「ミドルの生き方」「シニアの生き方」の3章をキャリア研究に携わる著者たちが考察。さらに第4章では「人生を変えた15のアニメ映画」と題し、別途15作品・15名の寄稿文を収録している。作品と論点の関係では、『魔女の宅急便』から「仕事の意味」、『千と千尋の神隠し』から「タフネス」、『君の名は。』から「パラレル・キャリア」、『ルパン三世 THE FIRST』から「学習の意義」といった具合で興味深いテーマが並ぶ。例えば、『美少女戦士セーラームーン』では"指令部"や"アシスタント"ではなく、最前線で戦う女性の姿に着眼し、"お茶くみ""コピー取り"から脱したキャリア観形成への影響を論じている。
他にも、社会貢献意識(『となりのトトロ』)やリーダーシップ(『トイ・ストーリー』)など、考えるヒント盛りだくさんの楽しい構成だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)