回転ずし店の商品をなめ回した「ぺロペロ高校生」ら、若者による一連の非常識行為が激しい非難を浴びる一方、「微罪を重罪扱いするのはいかがなものか」という擁護論も出て、賛否がかまびすしい。どちらの言い分ももっともだが、私自身は決まって昔の体験を思い出す。
あえて恥をさらすが、小学生当時、私は創刊直後の「週刊少年サンデー」を万引きしたことがある。付録の「プロ野球選手名鑑」がどうしても欲しかったからだが、書店のおやじさんに見つかってしまった。「もうしません」「親に言わないで」と泣きながら訴える私に、おやじさんは1時間ほど店の掃除や本の整理を命じた。
「これで許してくれるだろうか」と思いながら必死に働いたら、「おっ、きれいになったな」と言いながら、万引きした雑誌を「バイト代だ」と言って私にくれたのだ。それはそれで驚いたが、親に知られないかという不安もしばらくの間つきまとった。
3年ほどしておやじさんが死んだ時、思い切って父親に事件の顛末を話したら、彼は知らなかった。おやじさんは「親に言わないで」という願いも聞いてくれた。その時はホッとするだけだったが、年を重ねるにしたがい、おやじさんの偉さが身に染みるようになった。
当時と今では事件の内容も環境もまったく違う。それを百も承知で言えば、少年犯罪ではあっても罰は必要だと思う。だが、どうせ与える罰ならば、子供の成長に資する罰であってほしい。被害を受けた会社に、切に期待したい。(間)