コラム記事一覧へ

2023年1月24日

【ブック&コラム】『男性中心企業の終焉』

ジェンダーギャップが解消しない真因とは?

c230124.jpg著者・浜田 敬子
文藝春秋、定価1078円(税込)


 女性の地位向上をテーマに、企業事例・識者の見解・当事者たちの生の声を取材して仕上げた論考だ。均等法施行からの30年を、保護・配慮・戦力化の3段階で振り返りながら、依然ジェンダーギャップ指数が万年最下位の日本の問題点を掘り下げていく。

 注目すべき着眼点の1つは、両立支援が充実しすぎた結果、女性たちがマミートラック(=キャリアを降りるコース)に追い込まれているという捉え方だ。また、女性管理職が少ない理由では、性格や価値観の話ではなく、重要な仕事をアサインされない、期待されない、評価されない経験格差が背景にあると指摘する。さらに、夫の会社が改革を怠っていると、そのツケはキャリアを諦め、ワンオペに苦しむ女性たちが払うことになるとも語り、その場合、企業はフリーライド(ただ乗り)の状態ではないのかと厳しく問う。

 ジェンダー改革が進まない要因を多角的に検証しつつ、根本には、誰かのポジションが奪われるといった恐怖心があると推察。それを取り除き、対立的な構造にしないことも肝要だとまとめている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

PAGETOP