思い込みから自分を解放して働くヒント
著者・木暮 太一
講談社、定価968円(税込)
9年のサラリーマン生活を経て独立、作家・講師・投資家・コンサルタントとして活躍する著者が「ぼくら」を主語に人生と仕事の目的を問い直していく。もはや普通の会社員でいる限り、働き方改革を実現しても働きがいの手応えは得られず、生産性を高めても給料は上がらないと構造的な行き詰まりを指摘し、読者に価値観の転換を誘いかける。
会社員生活は服役期間、上司は看守、業務命令は懲役であり、給料とは来月も決められた通り働いてもらうための必要経費に過ぎないとシニカルに捉える一方、外部環境のせいにしても状況は変わらない現実も確認し、解決策は個人に刷り込まれた道徳観(=世間の目)からの脱出ではないかと考察を進める。ビジネスの視点に置き換えれば、誰からも叩かれない「真っ白なニーズ」では消費者は反応せず、今こそ批判を恐れて閉じ込めてきた「フロンティア・ニーズ」を呼び起こすときだと語る。
自身の思い込みを疑い修正する独自の方法論も紹介されているので、共感できる読者はまずはそこから試してはいかがだろう。
(久島豊樹/HRM Magazine より)