子どもが金融リテラシーを身につけるために
著者・石原 尚幸
三笠書房、 定価1650円(税込)
政府が「資産所得倍増プラン」を打ち出して貯蓄から投資への流れを後押しする中、若者の間でも投資への関心が広がっている様子だが、そもそも「お金の知識」を学校や家庭で教わってこなかった人が多いだろう。本書では経営コンサルタントの著者が、父親から子どもに語りかけるスタイルで、将来お金で苦労しないための視点とポイントをやさしく説く。
その方法は極めて明瞭で、(1)お金を上手に稼ぐ(2)お金を減らさない工夫をする(3)お金を賢く貯める、の3つ。また、その手立てとして「世の中の困りごとを見つける」「お金が漏れている穴をふさぐ」「計画と仕組みをつくる」といったヒントを与え、子どもがわかりやすいように「仕事=お手伝い」「収入=お小遣い」「支出=ゲームセンターやマンガ」「投資=参考書を買う」などに例えてユニークに説明している。
経営コンサルタントとして多くの経営層と接してきた著者ならではの実体験も交えており、子どもだけでなくビジネスマンにも読み応えがありそうだ。本文だけでなく、全体のレイアウトや図解からも「伝えたい」が感じられる工夫の施された教育本。「大きなお金から節約していく」「毎月支払うお金ほど無頓着になりがち」など、大人が家計を見直すきっかけになるかも。(司)