政府が重い腰を上げて、旧統一教会に対してようやく調査に入ることになった。宗教法人法に基づく「質問権」を初めて使い、この組織や関係者からの事情聴取などを行うという。ただ、宗教法人審議会なる諮問機関があって、そこで専門家の意見を聞き、「質問権」行使の基準などを決めてからというから、この先、いつになったらまともな調査ができるのかという危惧がないわけではない。
安倍元首相の銃撃事件以来、旧統一教会と自民党との"癒着"が次々とメディアによって明かされ、現職閣僚を含む国会議員らが釈明(と言えるかどうか別にして)に追われる姿を見せつけられた。「もう、ウンザリ」というのが大方の国民の気持ちだろう。
政府・自民党が調査に及び腰なのは、戦前の「宗教弾圧」の黒歴史があるからという説がある。確かに、大本教などへの弾圧はすさまじく、少なくともほとんどの仏教系団体は戦争に加担させられた。今のロシア正教会が政府のウクライナ侵攻を支持しているのと同じ構図で、「歴史は繰り返す」の見本だ。それだけに、政府の腰の重さは「過去の反省」に成り立つ"慎重さ"とみることはできる。
だが、本当にそれだけか。政府が調査に本腰を入れたら、まだ表ざたになっていない"癒着"の事実が続出するのではないか。そんな憶測がネット上で飛び交っているが、これまでの経緯をみる限り、あながち邪推とも思えない。あえて不謹慎な言い方をすれば、"ヤブヘビ"結構。この際、膿を出し切る方が政界浄化のためになるだろう。その意味で、「もう、ウンザリ」とも言ってはいられない。(本)