キャリアカウンセラーが説く転職の心得
著者・楠山精彦/和田まり子
経団連出版、定価1760円(税込)
人生100年・VUCAといった新しい環境を取り込んだ、キャリアカウンセラーの手による中高年のための転職ガイドの改訂版だ。学校でキャリア教育を受けていない世代の区切りとして書名では「40歳」としているが、人材市場はかつてより緩和的で、年齢・性別・学閥のハードルは下がり、その分、ジョブ型に呼応し「何ができるか」がより問われていると説明されている。
大枠では「社会人基礎力」の再構築とマインドセットの転換が柱。具体的には自己分析の進め方、職務経歴書の書き方、面接時の質疑例とポイント等がテクニカルにまとめられている。面接の受け答えは簡潔すぎても饒舌すぎてもいけない、内定後に過去を清算する1週間ごとの過ごし方、初出社後のNGワード集など目配りは細やかで、アドバイスは、自信としなやかさを両立させる心のあり方にも及ぶ。
同時に「転職ノウハウを分かっただけでは上手くいかない」とも指摘し、「ネガティブ・ケイパビリティ(=答えの出ない事態に耐える力)」に触れてリアル目線のキャリア論を展開している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)