思考力の伴った「勤勉2.0」のすすめ
著者・柴田 昌治
朝日新聞出版、定価869円(税込)
30年間賃金が上がらない日本の衰退原因は生産性の低さにあり、問題は創造性の欠如に行き着くと著者はみている。その創造性を阻害する要因に"職務に忠実な勤勉さ"を疑い、所属部署や上司に忠実なるがゆえに自分で"枠"を決めて思考停止に陥り、定型業務を儀式的にさばくだけの働き方に成り下がっているのではないかと危惧する。
対して、仕事の目的、価値、意味までを考え抜く思考力に着目し、判断の"軸"を仲間と共有する「拓く場」を提案。空気を読む感受性を活かしながらも忌憚のない意見を交わし合うオフサイトミーティングの効力を解き明かしている。社内に決定事項を下ろし、部下に結論を押しつけたのでは思考停止に陥るだけであり、まずは「拓かれた仮説」を示して意見を募るプロセスを取り込むことで組織内に当事者意識が芽生えてくると経験則も明かす。
よく考える必要のある仕事は"軸"で、定型業務を素早く仕上げるには"枠"で、この2つを使い分けるのが生産的な働き方だと論を導き、思考力の伴った「勤勉2.0」を誘っている。
(久島豊樹/HRM Magazine より)