上司を動かすBOSSマネジメントを指南
著者・久保田 崇
朝日新聞出版、定価825円(税込)
内閣府の官僚時代には残業が月150時間に及び、国会審議中に倒れたこともあると明かす著者は、岩手県陸前高田市の副市長を経て、現在は静岡県掛川市の市長として活躍する。その経験から、広く一般企業でも通用しそうな組織サバイバルのノウハウをまとめたのが本書だ。
「"霞が関流"サバイバル術7か条」「部下を持ったときの5ステージ」「敵をつくらないための4か条」など出世マニュアルに応用できそうなテクニックを整理。とりわけ、部下が上司をコントロールするBOSSマネジメントのウェイトが厚く、論破せずイエスマンにもならずに相手を誘導する方法が紹介されていて興味深い。いわゆる「根回し」はトラブルの芽を摘み取る作業だと割り切り、これができないと"仕事ができない奴"という烙印を押されその先はないとも説く。
上司のさらに上役を巻き込む「空中戦」など回りくどいやり方もあるが、いずれも組織遊泳が目的ではなく、本当にやりたいことを実現するための手段だと位置づけ、「しなやかな働き方」を読者に誘いかけている。
(久島豊樹/HRM Magazine より)