これまで何人もの"不祥事議員"を見てきたが、今回の「パパ活衆院議員」はその極め付きであり、国会議員の資質もここまで落ちたかとタメ息しか出ない。週刊誌に報道されて以来、離党はしたものの議員辞職はおろか、雲隠れしたまま夏のボーナス(286万円!)をしっかりもらったという。新型コロナで離職や休業を余儀なくされ、生活防衛に追われる国民の神経を逆なでするには十分な行為だ。
調べてみると、これまで小選挙区に4回出馬したものの、すべて惨敗を喫し、毎回比例復活したいわゆる"ゾンビ議員"であり、これが「民意を反映した」議員と言えるかどうか、非常に疑わしい。ゾンビ議員の存在はかねてより、比例制度の欠陥として問題になっているが、この議員は実にわかりやすい形で制度の欠陥をさらけだした。
おまけに、党内外から要請されている「議員の説明責任」にもまったく応えておらず、政治家以前に社会人としての常識も備えていない。この党は凝りもせず、こんな人物をなぜ名簿上位に置いたのか、それこそ説明責任があると思うが。もっとも、近年の"不祥事議員"はひたすら逃げ回るばかりで、国会内外でまともに説明責任を果たした人はいない。もはや死語となっている「説明責任」を多用する軽薄さにはもううんざり。
間もなく投開票される今回の参院選では、相変わらず低投票率が危惧されているが、「声を上げても何も変わらない」「興味がない」という若者層の諦めが大きいという分析もある。その気持ちはわからないでもないが、実はそれこそがこの政党の"狙い目"なのではないか。にもかかわらず、与野党も大手メディアも「議員の質向上」を取り上げようとせず、目先の国土防衛や生活保障ばかり。足元をみないから、地についた議論にならない。(典)