Q 「派遣労働者のキャリア形成に向けた取組事例集」では、具体的にどのような取組事例が紹介されているのでしょうか。
A 「派遣労働者のキャリア形成に向けた取組事例集~同一労働同一賃金に向けた取組を踏まえて~」が3月に厚生労働省から公開されたことは前回のコラムで触れましたが、第4章「派遣労働者のキャリア形成に向けた取組事例」では、それぞれ地域や派遣業務や規模が異なるA社からJ社までの10社の具体的な事例が紹介され、取り組みの背景、取り組みの内容、取り組みを踏まえた今後への期待などがまとめられています。いずれも派遣労働者のキャリア形成に取り組む際に役立つ好事例だと思いますが、とりわけ自社で応用して活用できる評価シートやツールが多数盛り込まれている点に特徴があるといえます。具体的には、以下のような例が掲載されています。
C社の例
E社の例
C社の例では、派遣先が派遣労働者の働きぶりを簡潔に評価できるシートで9項目の評価項目について3段階の評価が設定され、自由コメント欄も含めて派遣先の担当者からの情報を定期的に受け取ることで、派遣元が派遣労働者の働きぶりを包括的に把握することを目指しています。
E社の例では、派遣労働者と派遣元の担当者・幹部とが双方向のコミュニケーションをとることを目指して自己評価シートに本人記入欄と上司記入欄を設け、フィードバックの際に感謝の気持ちや具体的な改善策を伝え、イラストを用いて親しみやすい表現とするなどの試みがなされ、派遣労働者のモチベーションの向上を目指しています。いずれの例も多くの派遣先の現場で活かしうる示唆に富んでいると思いますので、自社の状況や方針にあわせて参考にしていきたいものです。
(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)