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2022年2月24日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」111・特定紹介予定派遣労働者とは

Q 「特定紹介予定派遣労働者」とは、どのような者のことを指すのでしょうか。

koiwa1.png 「特定紹介予定派遣労働者」という呼び方があります。似たようなキーワードでも、「特定有期雇用派遣労働者」などとは異なり、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。「特定有期雇用派遣労働者」とは、派遣先の同一の組織単位に継続して1年以上の期間にわたって有期雇用派遣労働者として勤務する見込みがあり、かつ派遣の終了後も継続して就業することを希望する者のことをいいます(派遣法30条)。これは派遣法に書かれた法令用語ですが、「特定紹介予定派遣労働者」の方は派遣法には登場しないため、初めて聞くという人もいらっしゃるかもしれません。

 「特定紹介予定派遣労働者」は助成金の分野で登場します。紹介予定派遣で正社員転換をはかる場合などに申請できる助成金にキャリアアップ助成金・正社員化コースがありますが、この要件のひとつとして「特定紹介予定派遣労働者」であることが求められます。具体的には、就労経験のない職業に就くことを希望し、紹介予定派遣(期間中に派遣元のOFF-JTを8時間以上受講)で2か月以上6か月未満の期間、派遣先の業務に従事している有期または無期派遣労働者のことを「特定紹介予定派遣労働者」といいます。

 なお、令和3年12月21日に要件が緩和されており、従来の「令和2年1月24日以降にコロナの影響により離職した者」が、求職者全体に拡大され、令和3年3月31日までの暫定措置も延長されました。したがって、離職理由がコロナの影響であるかどうかは問わず、派遣元が実施する一定要件のOFF-JTを受講し、就労経験のない職業に就くことを希望している有期または無期派遣労働者が、2か月以上6か月未満の紹介予定派遣をされている場合には、要件に該当することになります。

 派遣法は用語や言い回しが難解だといわれますが、「特定紹介予定派遣労働者」のような定義があることが、ますます難しく感じさせている面もあるのかもしれません。要件緩和によって紹介予定派遣による場合の助成金活用の幅が広がっていますが、このような表現はリーフレットなどでも随所に見られるため、戸惑わないように慣れていきたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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