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2022年2月15日

【ブック&コラム】カンニング考

 受験シーズンも真っただ中。今年は傷害事件や"ITカンニング"などの異常事態が相次ぎ、受験生のプレッシャーの大きさにタメ息が出る。「東大だけが大学ではない」「カンニング技術を磨くより勉強したらどうか」など、識者のもっともな指摘も、焦りを感じる当事者にとっては無意味にさえ思える。

c220214.JPG 私にも経験がある。カンニングをしたわけではない。中学校の期末試験で、数学の答えを友人に見せたのだ。当時は50人学級で教室はギュウギュウ詰め。カンニングをしようと思えばいくらでもできた(ように思う)。解答用紙を後ろにずらして、数字を友人に見せると、背中に「成功」の消しゴムの破片が飛んできた。やったあ!

 それが"暗転"したのは帰宅してから。よりによって、自信をもって見せた解答が間違っていたのだ。友人はどう思っているだろうか。同じ解答に気づいた先生に、2人してぶん殴られるかもしれない(当時、体罰は普通)。心配で夕食ものどを通らず、明け方まで寝つけなかった。

 翌日、重い足を引きずって登校したが、友人も先生も何も言わなかった。不正に気が付かなかったのか、気が付いたが見逃してくれたのか。卒業してから何度も聞いてみようとしたが、果たせぬまま、友人も先生もすでにこの世にない。私が「ひと様に迷惑をかけてはいけない」という人生訓を子供心に得たのは、これがきっかけだった。以来、この件が"心のシミ"となって、今も残っている。受験生のみなさん、やはりカンニングはいけないと思います。(本)

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