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2022年1月11日

【ブック&コラム】ショパン・コンクールの進化

 1年前と同様に、この年末年始も外出はほとんどせず、自宅で過ごした。昨年から撮りだめておいたテレビのクラシック音楽番組がかなりの数に上っており、それを"消化"するのに時間が掛かったからだ。そして、ショパンのピアノ曲の演奏会が多いことに気付いた。

 明らかに、昨年10月のショパン・コンクールの影響であろう。年末にかけて急増していた。日本人2人が2位と4位になるという快挙も手伝っていることは明白。「かまどの灰まで」というわけでもないのだろうが、歴代上位入賞者の演奏をピックアップした番組もあり、半世紀以上もショパンを聴き続けている私にとっては至福のひと時だった。

c220111.JPG 今回のショパン・コンクールの大きな特徴は、インターネットによって予選段階からプレーヤーの演奏がほぼ聴けたことではないだろうか。最終選考に残った12人の演奏は、YouТubeでライブ配信された。11月に私も次々と演奏者を"はしご"して1日を過ごしたことが何度かあった。Z世代の若者には当然かもしれないが、私のようにラジオのFM番組の特集を待ちわびたような世代には、「すごい時代になった」としか言いようがない。

 新型コロナウイルスで20年は世界中で演奏会が中止となった。それが、昨年は入場制限付きながらも、少しずつ各地で復活していることも心強い。元日に放映されたウィーンフィルのニューイヤー・コンサートにも観客が戻っていた!これまで当たり前だと思っていた光景が、実は当たり前ではなかったのだ。そのことに改めて気付きながら聴くウインナワルツは、とても新鮮だった。(典)

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