ワークとプライベートと創造性の関係
著者・長田 英知
KADOKAWA、定価1650円(税込)
ワーケーションの定義を「非日常の場に、勤務時間中に、自発的に滞在して仕事・余暇を過ごすこと」と定め、様々な機関の調査報告を交えながら、働き方の実態と可能性を探る論考だ。時間と場所の選択権が本人にあるという前提で、ワークとプライベートを断絶させずにクリエイティビティを発揮させていく姿を1つのモデルに掲げている。
そもそも論では「働く理由」と「ワークスタイルの変遷」に立ち返り、マルチワークとマルチロケーションの掛け合わせから創造性が触発される構造を俯瞰する。人事にとって気がかりな労働時間ではフレックスタイム制および裁量労働制に触れつつ、時間管理の縛り自体を疑問視。クリーニング店にシャツを預けた場合、1週間後に仕上がっていればよく、何時からどうやって洗濯したかまでの進捗報告は不要だとたとえて、現実に即した法制度改革の必要性も言い添えている。
また、オンライン化の進展で自宅が多機能化すると、広さを求めて地方への回帰が加速すると予測し、考察は働き方の近未来像に踏み込んでいる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)