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2021年12月 7日

【ブック&コラム】「裏金問題」の根深い体質

 しつこいようだが、11月16日の「またまた出た議員特権」の続編。国会議員の「文書通信交通滞在費」の日割り問題について、野党側は日割りだけでなく、使途についても明らかにするよう主張しているのに対して、与党側は難色を示しているそうだ。予想された反応とはいえ、議員の本音は「そうした金は政治に必要」というものであり、私も与党だけでなく野党議員からも聞かされたことがある。

c211116.jpg しかし、「なぜ必要なのか」と聞いても、はっきりした返事をもらったことはない。その理由が今回、新潟5区の衆院選で当選した自民党議員の"告発"でわかった。この議員は元党県連会長の県議会議員に「2000~3000万円の裏金を要求された」と音声公開付きで暴露した。確かに、テープのやり取りを聞く限り、どうみても「裏金をばらまけ」と指示している内容だ。

 要するに、「政治に必要な金」とはこの種の裏金のことではないのか。議員OBの中には「活動報告などのビラをまけば文通費だけでは足りない」という体験談を披露する人もいるが、本当にそうなら使った分を領収書付きで精算すればいい。選挙の裏金に使うよりは、はるかにマトモな使い方だろう。なぜ"使途不明金"でなければならないのか。

 新潟5区の裏金騒動で当事者間に何があったかは、重要な問題ではない。選挙に際して裏金を使うのが当然といった政治体質こそが問題なのだ。昨年も広島県の巨額選挙違反事件で、法相経験議員が有罪となったばかり。「政治とカネ」の古くて新しい問題がこれだけ続出している以上、もはやいい加減な対応が許されないことは明らかだ。それでもなお"頬かぶり"してウヤムヤにするのだろうか。少しは真面目に議論したらどうですか。(俊)

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