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2021年11月16日

【ブック&コラム】またまた出た「議員特権」

 以前、本欄で「既得権の塊、議員歳費法」と題して「永田町の常識は社会の非常識」と書いたが、またまた、それが表面化した。「第2の議員歳費」としてかねてより"悪名"高かった「文書通信交通滞在費」である。10月31日の衆院選開票日に数時間だけ議員になっただけで1カ月分の100万円が支払われたというから、もう議論の余地はあるまい。これを"暴露"した日本維新の会の功績は認めたい。

c211116.jpg 東京都議会でも、無免許事故を起こした都議が雲隠れしたままだったのに、月額80万円余の議員報酬が払われ続けて、世間の顰蹙(ひんしゅく)を買っている。次から次に出て来るこの種の話は、「政治とカネ」の古くて新しい問題を改めて浮き上がらせた。当事者たちは「しかるべき所に寄付した」と弁解しているが、寄付で済む問題ではないはずだ。

 やはり、法改正が必要だ。それも議員同士の「なあなあ会議」による内部の議論ではなく、第三者の有識者による検討会議を設け、あらゆる議員特権を総ざらいしなければ、必ず抜け道が用意されるのは目に見えている。「他人の懐に手を突っ込むな」「木を見て森を見ない感情論」「三権分立の趣旨に沿った規定」などの異論反論も出ているが、国民感情からかけ離れた屁理屈でしかない。

 今回の衆院選では、公明党が当選無効の議員に対する歳費などの一部返納を義務化する法改正を公約している。「10万円給付」のバラマキに血道を上げるのも結構だが、公約した以上はこちらも必ず実現すべきだ。ただ、それも手始めに過ぎないであろう。今回の「100万円問題」のようなずる賢い規定がどこに潜んでいるか、徹底的に洗い出さないとわかったものではないからだ。(俊)

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