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2021年11月23日

【ブック&コラム】『「仕事ができる」とはどういうことか?』

スキルでは追いつかないセンスの正体とは?

c210800.jpg著者・楠木 建/山口 周
宝島社、定価980円(税込)


 注目の論客2人がスキルとセンスの違いを語り合う。どんなに役立つスキルを積み上げても「仕事ができる」とは限らず、スジのいい直観に基づき全体的意味を導き出せるセンスのある人にはかなわないとホットな人材論を展開している。

 「仕事ができない」典型例に「やたら分析はするが、示唆や洞察が得られない」ケースを挙げ、「不毛な作業=クソ仕事」と断じる。対してセンスは資格や点数、計画的な学習では説明・習得できず、個々の経験の末に事後的に認識されるものだと説く。ここで重視すべきは文脈・時系列のストーリーであって、定型的・標準的に要点を箇条書きで示しても空疎だと警告。また、時代のキーワードに敏感で、データをそろえ、将来予測を知りたがり、外界に最適解を求める人は本質的に仕事ができないと危機感も漏らす。

 全体に抽象概念にウェイトの高い内容ながら、表現は底抜けにぶっちゃけているので話についていくのは容易だ。内外の有名経営者たちを俎上に載せ、実相を暴き出していくリスキーにして絶妙な物言いも楽しい。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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