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2021年10月26日

【ブック&コラム】『ゴミ清掃芸人の働き方解釈』

働く意味を"解釈"するヒント

c21070000.jpg著者・滝沢 秀一/田中 茂朗
集英社インターナショナル、定価858円(税込)


 著者はゴミ清掃員かつ23年間お笑い芸人をやっているダブルワーカー。本書にお笑いの要素はほぼないものの"なぜ働くのか、なぜその仕事なのか"を淡々と自問自答していく独白文には人生と労働に対する真摯な姿勢がにじみ出ていてついつい引き込まれていく。

 清掃員の仕事は、朝早くからチームでキビキビ働くのが基本で、同僚には、ボクサー・役者・ミュージシャンも多いという。ただ"本業では食えないからイヤイヤ掛け持ちの仕事をして......"という悲壮感はない。特に著者自身は、平日の昼間にきちんと働き、休みの日に芸能活動をやっていると捉えて「豊かなワークライフを実現している」という解釈さえも試みる。「何がしたいか」より「何ができるか」のほうが重要ではないかと問いかけ、ライフプランなど考えずに働き始めてしまった人たちにこそ読んでほしいと"気づき"を訴えている。

 あるとき副業と本業を逆に考えたら仕事が楽しくなってきたと振り返り、セレンディピティの力を熱く静かに真面目に語る「働き方解釈」がじわじわ来る。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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