セリフで理解する部下との接し方
著者・吉田 幸弘
KKロングセラーズ、定価1210円(税込)
ハラスメントを恐れて部下を叱れない管理者に向け、職場の人間関係から解き明かしてくれる1冊。
部下育成・組織コンサルタントとして活躍する著者は、かつてはハラスメント型のコミュニケーションをとり、3回の降格人事も経験したと会社員時代の過去を明かす。その反省も踏まえ、様々な角度から部下への接し方を考察。その言動がハラスメントに該当するかどうかは受け手によるという構造に行き着き、問われるのは日頃の信頼関係だとの確信を得て、話の聞き方、仕事の頼み方、リモートでの接し方などの場面別に、極めて具体的なセリフを挙げてノウハウを整理している。例えば、親しくなろうとプライベートのSNSに絡むのはNG、優秀な人だからと任せきっていると離職される、相手の話を聞く際は"正論を教えてやろう"と構えたり、「なぜ」を繰り返して圧迫になったりしてもいけないと、細かい。
リモートでは性善説(放任)でも性悪説(管理)でもなく"性弱説"で寄り添うスタンスを提案するなど、今どきの事情に配慮された記述も役立ちそうだ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)