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2021年10月 5日

【ブック&コラム】『部下を育ててはいけない』

目指すべきは「良き上司」ではない

c210700.jpg著者・田端 信太郎
SBクリエイティブ、定価990円(税込)


 リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOと個性の強い組織・経営者のもとでビジネスを担ってきた著者が、25項目の「上司力改革」を整理した1冊。

 「リターンの見込みのある部下と見込みのない部下を選別し、ダメな部下は取り替える」と断言するなど、言説は多分にリスキーだが、目指すべきは「良き上司」ではなく「圧倒的な成果」だと腹をくくっていて、武士道に模した「上司道」を説くスタンスは豪快だ。会社への忠誠では成果は出ないと見切りをつけ、いかに部下を介してパフォーマンスを上げていくかにこだわる"突き抜けた個人"を1つのモデルに挙げ、その姿は"組織人"とは矛盾しないとも語る。また、マイクロマネジメントに陥る上司たちには、ビジネスで大勝ちするための大局観を諭し、行動の側面では"はったり"を含む演技力の発揮も求めている(著者自身が手がけたリクルート社『R25』の創刊など"はったり"が大成功した事例も載せていて、数々の逸話は面白い)。

 賛否割れそうなタイトルにして、ホンネあふれるリーダー論に要注目。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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