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2021年9月14日

【ブック&コラム】『「定年後」のつくり方』

「定年3.0」を生き抜くために

c210600.jpg著者・得丸 英司
廣済堂出版、定価990円(税込)


 定年退職して悠々自適の老後生活を送る「定年1.0」、年金支給年齢の繰り下げと雇用延長の不安に苦しむ「定年2.0」を経て、今は、人生100年時代の収入・生きがい・働きがいを模索していく「定年3.0」を迎えているというのが本書の認識だ。

 改正高年法では「70歳」という目安を掲げつつ、雇用だけではなく独立自営を支援する関係も認めていることから、個々人は今の会社に何とか残れるようリストラに怯えるのではなく、ジョブ型に適応し、会社から離れてもやっていける「自走力」を身につけるべきだと中高年読者を鼓舞。定年退職して、無理に趣味やサークル活動を始めても長く続かない例は多いと指摘し、慣れ親しんだ仕事の分野で得意のスキルを生かせる場を見つけるのも1つの方法だと誘いかける。定年後、何かしたくても居場所を見つけられない「定年後難民」を予防する意味でも、50代からの助走期間は重要だと述べ、リカレント(学び直し)の実例もいくつか挙げている。

 ロールモデルの少ない中高年の働き方・生き方に一定の見通しを示してくれる1冊。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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