Q 標準報酬月額の特例改定が延長されたと聞きましたが、具体的にはどのような内容ですか。
A 新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が著しく下がった人の標準報酬月額の改定に現実的に対応するため、令和2年4月から令和3年3月まで、標準報酬月額の特例改定(健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定によらず、特例により翌月から改定を可能とする措置)が講じられました。コロナの影響による休業などが引き続き深刻化していることから、令和3年度にも特例改定の措置が延長され、令和3年4月から7月までの間に一定の要件に該当した人についても、特例改定の対象となります。
標準報酬月額は、通常の随時改定の仕組みでは変動月から4か月目に改定されることになるため、例えば4月から休業手当が支払われた場合は、4か月目の7月から改定されることになります。この場合、被保険者は通常の報酬(賃金)よりも低い休業手当しか支給されないにも関わらず、保険料が休業手当相当分に改定されるのは4か月後となるため、被保険者の実際の生活に与える影響が生じかねないことから、特例改定を適用した場合は翌月から改定が可能となります。特例改定は、以下の要件をすべて満たす必要があります。
②著しく報酬が低下した月の報酬総額が、標準報酬月額より2等級以上下がった(固定的賃金の変動がない場合も対象)
③本特例措置による改定内容に本人が書面により同意している
特例申請を希望する場合は、令和3年9月30日までに、月額変更届(特例改定用)に申立書を添付して、管轄の年金事務所の窓口もしくは郵送で申請することになります。行政からは、「給与事務の複雑化や年末調整等への影響を最小限とするため、改定をしようとする場合はできるだけ速やかに提出をお願いします」と周知され、申請期限は「必着」とされていますので、十分に注意したいものです。
特例改定は通常の随時改定の特例として置かれたものですが、コロナの影響による休業への対応という特殊事情から、通常の随時改定とは異なる点もあります。まず、通常の随時改定は固定的賃金に変動がない場合は対象とはなりませんが、特例改定では固定的賃金の変動に関わりなく、要件に該当する場合は改定の対象となります。このため、パートタイマーの勤務日数が減少したことによって報酬が減少し、時給単価自体には変動がないような場合なども特例改定の対象となります。
また、通常の随時改定では支払基礎日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)の月は対象とはなりませんが、特例改定では、コロナの影響で事業主からの休業命令や自宅待機指示などで休業した場合は、休業した日に報酬が支払われていなくても基礎日数として取り扱い、その上で休業月とその前2か月のいずれか1月でも17日未満となる場合は、特例改定の対象となりません。なお、休業が回復した月に受けた報酬による標準報酬月額が、特例改定の標準報酬月額と比較して2等級以上上がった場合は、月額変更届の届出によって翌月から標準報酬月額を改定しなければなりませんので、この点にも注意しましょう。
「健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例改定を延長等します」
(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)