首都圏を中心に、13日からJR各線の終電時刻が一斉に早まり、JRに連結する私鉄も終電を早めた。コロナ禍で深夜の利用者が減って採算が取れなくなったのに加え、長年の課題となっていた線路などの保守作業に向ける時間を確保するのが目的という。
早まるのは5~30分程度だそうだが、車の発達している地方ならともかく、首都圏などでは飲食店の経営に響くうえ、仕事や遊びで終電を逃した利用者らへの影響は小さくない。「早く帰れば済む話」という指摘はもっともだが、良くも悪くも「都会の夜」がさまざまな文化の一翼を担ってきたことは間違いないから、やや寂しい気もする。
もう半世紀ほど前になるが、いわゆる70年代フォークに西島三重子の「池上線」という名曲があった。2番の歌詞の冒頭は「終電時刻を確かめて、あなたは私と駅を出た」で始まる。青春の切ない別れを歌った舞台に「終電」は格好のアイテムになった。私も20代のころは井の頭線沿線に住んでいたから、この歌の持つ雰囲気はよくわかる。終電を逃して、よく歩いて帰宅したなあ。
余談もいいところだが、カラオケで私はこれまで「池上線」を「井の頭線」に置き換えて歌ってきたが、どうにも語呂が良くなかった。ところが、「池上線」から30年ほど後になって、あさみちゆきの「井の頭線」(これも隠れた名曲!)という似た曲が出た時に、時代は変わっても若者の思いはそれほど変わっていないことを確信した。今は2曲セットで歌っています。(典)