リモートワークの先を行く会社
著者・石倉 秀明
CCCメディアハウス、定価1400円+税
世界16ヵ国・約700名のメンバーがリモートで働くキャスター社の"中の人"が人事を語った1冊。リモートワークは特殊ではなく、単に働く場所の選択にすぎないと割り切り、「約束を守り、当たり前のことが当たり前にできる人材」こそが優秀だとの認識を示す。
就業時間はログインとログアウトで管理する。メンバーには、コミュニケーションを取りながらチームの成果を最大化していく役割を期待し、チャット上での雑談を推奨して情報の顕在化を意識したマネジメントを進めている。結果的に雇用はジョブ型に行き着き、さらに「週3日正社員」「業務委託型契約事業部長」など雇用の多様化という点でも実践が先行している。
"会社は個人の邪魔をしない"との信念から一体感強化の施策を疑い、居住地や年齢で給料が変わるのはおかしい、満員電車は不毛、仕事の価値と成果と収入は必ずしも比例しないといった真実をみつけて"週5日出勤・正社員中心"の既成概念を踏み越えていく。最終的には競争とは違う次元で参加できる社会を希求している様子だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)