"控え目な女性"を引き上げる実践例
著者・キャシー松井
中央公論新社、定価+820円+税
外資でキャリアを積み、多様な社員と関わってきた著者は、男女間に能力差はないが性差の特徴はあると述べ、女性の活躍に遅れる日本企業に向けてアドバイスを語っている。
女性が控え目なのは世界に共通する傾向であり、昇進の打診に対して「私なんか」と遠慮されても、そこで話を打ち切らず、昇進して失敗しても安心して働き続けられる保障を説き、何度でもアプローチする努力を経営・人事に迫る。また、ライフイベントのタイミングで負荷の少ない仕事を担当させる配慮は間違いだと指摘し、「辞めたくない」レベルの魅力ある仕事の提供こそがM字カーブ解消に有効ではないかと提案。ダイバーシティを機能させる成功要因に、トップの決意、会社の制度、リーダーの意識を挙げ、メンター制度、スポンサー制度といった環境整備を実例で紹介する。
一方で、女性自身には、黙々と仕事に没頭するだけではなく自ら手を挙げ発言する勇気を、上司には優秀な女性部下を上層部へアピールする姿勢を求める。体験ベース、実証済みゆえ、納得度は抜群だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)