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2020年9月 8日

【ブック&コラム】政治空白

 安倍首相が辞任を発表した数日後、医療関連の新法制定を目指す超党派国会議員連盟の事務局から連絡があり、9月初めに予定していた議連総会が延期になった。私も長年、制定運動に関わった1人。予想はしていたが、自民党は総裁選で、野党は再編でそれぞれ忙しくなり、「人(議員)が集まらないから」という説明だった。ただでさえ、コロナ禍で延び延びになっていたところへ、今度は「政変」と聞いて、無性に腹が立った。

c200908.JPG 与野党ともに"お家の事情"でバタバタしているが、大多数の国民は蚊帳の外。特に今回の総裁選は「政治空白生じさせないため」、国会議員だけで後任者を事実上決めるという短期決戦。それも、3候補のうち菅官房長官で勝敗はほぼ決着したそうで、8日の告示以降の日程は首班指名まで含めて実質的なセレモニーになっている。

 辞任表明から1カ月以内に後任首相が決まるわけだから、一見、もっともにみえるが、6月に国会を閉会したことで政治空白はすでに生じている。政府・与党は「閉会中審査をしている」「安倍首相は後任が決まるまで職務を続ける」と弁明するが、コロナ禍に有効な法改正をはじめ、重要案件は次々と先送りされているのが実態だ。

 感染対策に追われる医療関係者、業績ダウンにもがく経営者、そして自由な移動を制限されてストレスがたまっている多くの国民にとって、今の政界の動きは生活に困っていない人たちによる"お祭り騒ぎ"にしか見えない。たとえそれが「民主主義に必要な手続き、コスト」だとしても、「いいご身分だねえ」と皮肉の一つも言いたくなる。そうしたら、「新総裁の下で総選挙も」と言い始める議員まで現れた。バカも休み休みに......。(典)

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