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2020年9月22日

【ブック&コラム】『コロナショックと昭和おじさん社会』

セーフティネット空白の現実を考察

c2009_2.jpg著者・河合 薫
日経BP、定価850円+税


 あえて書名の解釈を試みれば、「昭和の社会システムのままコロナショックに見舞われた今、矛盾・理不尽が一気に表面化しているのではないかという仮説と考察」となるだろう(ダメなおじさんを茶化すような内容ではない)。

 その矛盾・理不尽とは主に、雇用・格差・福祉の3点に大別される。男性正社員が大黒柱で、腰掛けOLが主婦となり、子供2人をもうけて4人家族という昭和の中流世帯を標準とみなしたまま、バブル崩壊以降、社会構造が激変したにもかかわらず、セーフティネットの仕組みを変えてこなかったツケがいよいよ顕在化しているという指摘だ。コロナ禍でヘルパーの行動が制限されたり、雇い止めで困窮者が増加したりしても、頼るべき福祉は依然として「家族による支え」を前提としている矛盾。すでに家族のカタチが変質しているので介護も困窮者のケアも深刻な空白にさらされていると語る。

 ストレスの雨が降るとき、傘を差し出す人がいるだろうかと問い、助け合い、思いやる人々の動きを捉えてかすかな希望を見出そうとしている。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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