「苦労」「我慢」が無意味な時代の働き方
著者・山田 理
大和書房、定価1500円+税
銀行出身・IT企業副社長・アメリカ法人社長というと隙なくビジネスを攻めまくっているような先入観を抱いてしまうが、本書からうかがえる著者のキャラクターはほぼ真逆だ。人事部に「感動課」を創設し、「育自分休暇」を認め、「部長制」を廃止し、「100人100通りの働き方」という柔軟な職場を構築する"中の人"だ。"熱血"とは正反対のユルさをにじませ、若者の悩みに回答していくスタイルで、多面的に働き方のアドバイスを綴っている。
例えば、「やりたいことが見つからない」のなら「できること」と「やるべきこと」と「ありがとうと言われること」の接点を探してはどうかと誘う。「好きなことは仕事になるか」「会社のカルチャーに馴染めない」「この会社にいていいのかな」といったお悩みには、"無理しなくていい"という姿勢を伝える。その根底には、「苦労」や「我慢」が今後の時代には無意味・非常識になっていくとの認識がある。
標準語を基調としながらホンネに近づくと関西弁をのぞかせるなど、内容・文体とも独特で楽しい。
(久島豊樹/HRM Magazine より)