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2020年8月 6日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」32・標準報酬月額の上限の改定

Q 厚生年金保険の標準報酬月額の上限が追加されると聞きましたが、具体的にはどのような等級になりますか。

koiwa.png 社会保険の保険料は標準報酬月額によって計算される仕組みであり、現行では健康保険は1級5万8千円から50級139万円まで、厚生年金保険は1級8万8千円から31級62万円までが設定されています。したがって報酬月額が80万円の人は、現行では健康保険は39級・79万円、厚生年金保険は最高等級の31級・62万円となっています。

 今年9月から厚生年金保険の等級が追加され、現在の上限等級(31級・62万円)の上に32級・65万円が新設されることになりました。したがって9月以降は、報酬月額が80万円の場合、健康保険は39級・79万円、厚生年金保険は32級・65万円となります。今までは健康保険には報酬月額に対応する等級があるのに、厚生年金保険は上限が62万円という点に疑問もありましたが、一等級だけとはいえ変更されることになります。

【改訂前】

月額等級 標準報酬月額 報酬月額 一般・坑内員・船員
(厚生年金基金加入員を除く)
全額 被保険者負担分(折半額)
18.300% 9.150%
第31級 62万円 60万5000円以上 11万3460円

5万6730円

【改訂後】

月額等級 標準報酬月額 報酬月額 一般・坑内員・船員
(厚生年金基金加入員を除く)
全額 被保険者負担分(折半額)
18.300% 9.150%
第31級 62万円 60万5000円以上
63万5000円未満
11万3460円 5万6730円
第32級 65万円 63万5000円以上 11万8950円 5万9475円

 おりしも今年の定時決定(算定基礎届)の手続きを終えた時期ですが、新たな標準報酬月額が適用される9月から上限の追加が行われることになります。なお、31級から32級に変更される人について事業主が届出等を行う必要はなく、9月下旬以降に日本年金機構から標準報酬改定通知書が送られてくることになります。該当者がいる場合は、給与計算(社会保険料の控除)の際に標準報酬月額の改定の時期に注意したいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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