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2020年6月16日

【ブック&コラム】『ストライキ2.0』

SNSで連帯が広がる新潮流

c200616.jpg著者・今野 晴貴
集英社、定価860円+税


 一貫してブラック企業対策に取り組んできた著者は、法的規制に実効性を持たせるための手段として「ストライキ」を訴求。かつての労組主導の賃上げ闘争とは次元の異なる新しい動きを捉え、21世紀型の「ストライキ2.0」と名付けて、その動向を本書に考察している。

 旧型との違いは、まず、サービス業・流通業で顕著な点だと指摘する。駅構内売店、牛丼店、図書館、介護施設、保育士、サービスエリア、コンビニ等の事例を追いつつ、①職業的、②社会的、③階層的、という3つの要素による分析を試みる。さらに、社会インフラを担う人たち(男性正社員ではない現場の方々)が訴える不条理への抗議に呼応し、SNS上で一般人の共感・支持が広く盛り上がる現象に着目し、「労働者と消費者の連帯が21世紀型ストライキ成功のカギだ」と読み説いている。

 単に「賃金を上げろ」ではなく「自律的に働きたい」「環境問題を改善したい」といった要求項目の質的変化も視野に入れ、世界とパラレルで始まっている労働運動の進化形を注視している。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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