イノベーションが機能する組織構造とは
著者・田所 雅之
光文社、定価840円+税
数々のスタートアップを支援してきた著者は、潤沢なリソースに恵まれた大企業で新規事業がうまくいかない理由を"組織のあり方"に見出している。日々「果実を収穫する」コアビジネスと、イノベーションを生み出す「問題児」の運用が同じはずはないと指摘し、独自の概念"3階建て組織"の構築を提案している。
すなわち、1階は損益にこだわるコアビジネスの展開(10を100に)。2階はすでにあるマーケットでカイゼンを極める持続的イノベーションの推進(1を10に)。3階は、未来のマーケットを実験する破壊的イノベーションを担う場(0から1を生み出す)と位置づける。また、成功をもたらすためには3階部分を統括しながら全社目線で1階・2階とも連携を図る推進担当者「CINO(Chief Innovation Officer)」の存在が重要だと強調。「3階建てのヨコ串」が機能する先進企業と「1階建てのタコツボ」で衰退する組織との違いを明らかにしている。
4つのフェーズに切り分け、8つのステップで科学的に進めるイノベーション組織論は要注目だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)