皆が1ヵ月休める働き方のヒント
著者・堀内 都喜子
ポプラ社、定価860円+税
国連「幸福度ランキング」2年連続1位の国フィンランドの人々の働き方・休み方・学び方・生き方の事情を大使館に勤務する著者が明かす。
書名の通り、午後4時を過ぎるとオフィスから人がいなくなるのは、フレックスを利用して朝8時から働く人が多いからだという。法制面では11時間のインターバル、週1回35時間の休憩、勤務時間内のコーヒータイムも企業には義務づけられている。有休消化率はほぼ100%、夏休みには皆が1ヵ月のバカンスを満喫、父親の8割が育休を取得する労働者保護と権利意識が進んだ社会の一面が語られている。
ただ、「休んでばかり」ではなく「責任をもって仕事をする」「ガッツと忍耐でやり遂げる」価値観も健在で、仕事も休みも勉強も家事もバランスよく頑張る文化が背景にあるとされる。組織に階層はあっても関係はフラットで、役職・立場ではなく、倫理的判断・協力的行動で人物が評価される公平感の高い文化、貧困率は低く、1人あたりGDPは日本の1.25倍という生産性を維持しているその秘訣が、少しずつ理解できる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)