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2020年3月 5日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」10・令和2年1月14日公表版の労使協定(イメージ)⑤

Q 労使協定方式の「通勤手当」については、どのような点に注意して参考にしたらよいでしょうか。

koiwa1.png 通勤手当については、「通勤手当の支給要件に『徒歩圏』を設けている場合の記載例」と「『一般の労働者の通勤手当に相当する額と同等以上を確保する場合』の方法をとることにしているが、一般通勤手当72円とならない場合の記載例」が掲載されています。

 徒歩通勤については、Q&A第1集問3-4に「『徒歩圏内』の距離については、(人事院規則ー原則として2キロメートル未満の場合には通勤手当は支給しないー等を参考にしつつ、)労使でご判断いただくものである」とあるのに対応しています。あくまで記載例とはいえ、通勤手当の対象外となる徒歩通勤の距離は片道2キロメートル未満を参考にすべきでしょう。

 一般通勤手当の72円(平成30年度)については、通達で 「基本給・賞与・手当等」、「通勤手当」、「退職金」の全部又は一部を合算する場合の取扱いが認められていますが、具体的に72円を下回る場合の記載例が後者となっています。

 通勤手当や退職金を合算する方法について質問を受ける機会も多いですが、このような方法で支給することが認められるのはあくまで一般通勤手当として72円を支給する場合であり、実費支給の場合には認められない点には注意したいものです。

一般賃金 協定対象派遣労働者の賃金
「一般基本給・賞与等」+「一般通勤手当(72円)」 「基本給・賞与・手当等」+「通勤手当」
「一般基本給・賞与等」+「一般退職金」 「基本給・賞与・手当等」+「退職金」
「一般基本給・賞与等」+「一般通勤手当(72円)」+「一般退職金」 「基本給・賞与・手当等」+「通勤手当」+「退職金」


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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