早いもので2月も下旬に入った。例年この時期の国会は、取り分け衆院で新年度予算案の採決を巡る与野党の攻防が激しさを増す。とは言っても、この8年ほどは与党が圧倒的な議席を有するだけに、野党は衆院採決を3日前後遅らせるのが関の山。肝心の議論の大半は、国家百年の計にかかわるテーマとかけ離れた官僚を含むスキャンダルものをはじめ、その場の感情による「言った」「言わない」「謝罪だ」「釈明だ」といった空虚なやり取りだけが印象に残る予算委員会が多い。
悲しいかな、今年もご多分に漏れずといった具合だ。56年ぶりとなる東京五輪を5カ月後に控え、さらに予想外の新型肺炎に見舞われている中、相変わらずの国会質疑と日程闘争では政治不信は高まるばかりだ。野党による安倍晋三首相や閣僚への度を越えた挑発的言動も目に余るが、突っ込まざるを得ない要素を複数持ち合わせ、釈然としない答弁を繰り返して逃れようとする政権や官僚の姿勢もみっともない。
新型肺炎の国内感染の広がりは、製造業や観光業などの落ち込みに直結し、経済全体への打撃は必至だ。国民は今、視界不良で何とも言い難い精神的、物理的両面の不安にさらされている。それでも、衆院予算委員会は、安倍首相が野党議員に自席から飛ばしたやじの"後始末"などが中心となっている。
政府・与党は、来週27日にも新年度予算案の衆院通過を狙う。この数年は80時間前後の審議時間が採決の目安とされており、その辺りまでの積み上げに躍起だ。しかし、そんな国会内だけで重要視される積算時間ルールに国民は興味がない。与党と野党、どちらも推せないフラストレーションだけが、国民の間で日に日に積み上がっているのは確かだろう。(司)