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2020年1月21日

【ブック&コラム】『人間使い捨て国家』

労基法の誤解運用に警鐘

c200121.jpg著者・明石 順平
KADOKAWA、定価860円+税


 ブラック企業被害対策を手がける弁護士の著者は、かつてWEB制作会社での勤務経験があり、裁量労働制の実態をよく見てきたという。マクロで捉えれば「安くて便利」に価値を置く日本経済は低賃金・長時間労働に支えられていて、その構造こそ国力衰退の原因ではないかと疑いつつ、問題は“穴だらけの法律と運用”にあると見て、労基関連法の瑕疵を本書に指摘している。

 例えば、「固定残業代」は基本給の一部を切り取って残業代と言い換える「インチキ」だと批判する。また、店舗オーナーの死亡率と本部利益率の高さに着目し、「コンビニ業界は現代の小作農」とも言い当てる。そもそも「残業代」とは過労死に至るような長時間労働に対する抑止機能が主旨であり、カネの問題ではなく命の問題なのだと力説。「36協定」「みなし○○」「管理監督者」「変形労働時間」のいずれの人事制度も誤解がまかり通っていると危惧する。

 最終章では状況を逆回転させる政策を26項目にわたって提案し、「ホワイト企業だけが生き残れる環境整備」を希求している。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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