中国人を理解する手がかりに
著者・青樹 明子
日本経済新聞出版社、定価850円+税
北京の大学に留学し、現地での勤務経験も長い著者は、日本人と中国人の商習慣や考え方の違いを本書に語っている。
今は日本の老舗旅館や小売流通業を中国系資本が買収する時代であり、経営者として、またお客様として中国人が大量に来日する事態に至り、「中国人上司=日本人部下」の関係が当たり前になりつつある。この状況を捉えて著者は「好き嫌い」を言っている場合ではなく違いを相互に知る必要があると指摘している。中国人の商習慣・経営判断は良くも悪くもスピード感であり、それを受け入れられるかどうかが日本人従業員の分岐点になるだろうとも考察。クオリティとスピードが二律背反するときなど価値観の違いが顕在化しがちだとリスクを挙げている。
もっとも、本書に繰り広げられるエピソードの数々は、「上司=部下」の問題に限らない。ケータイの機種でステータスを判断されるとか、副業やキックバックは誰でもやっているとか、キッチンのスポンジで風呂場を洗われたとか、実体験ベースの逸話が豊富で、ビジネス抜きで楽しめる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)