ブレイクスルー人材の見つけ方
著者・柴田 彰
日本能率協会マネジメントセンター、定価+1700円+税
今、日本企業では、既存事業のライフサイクルが終焉を迎えつつあり、ブレイクスルーをもたらす創造型人材のニーズが高まっているという前提に立ち、そのような人材をどこから調達するのか、そもそも実像を絞り込めているのかと著者は問う。
典型例に「DX人材」を挙げ“デジタルに長けたスーパー人材”程度の認識では救世主待望論に過ぎず、本当に必要な適材の確保には至らないと考察する。外部からの調達が難しければ、内部人材を育成し直すしかないが、その際は“研修に力を入れる”次元ではなく、採用基準を根本的に見直す(=面接官のマインドセットを変える)ところから決断が求められるとも指摘。蓄積されたオリジナルのコンピテンシー要件を示しつつ、例として「事業のネタを見つける人」と「ネタを事業化する人」を分けて人材像を絞り込む方法を提案している。
さらに、創造型人材の活躍を周囲(旧来秩序)から庇護する上位者の存在も重要だと述べ、社員を旧型から新型へ移行させる「トランスフォーム」の現実的組織戦略論を展開している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)