Q 労使協定方式の場合、法改正に対応するためにいつまでに何をすればよいでしょうか。
A 2020年4月の法改正に対応した年間スケジュールを施行日前と施行日後に分けると以下のようになります。
施行日前
1.一般賃金との比較、賃金テーブルの作成 → 料金見積り → 派遣先との交渉
2.労使協定締結のための労働者代表選出
3.労使協定の締結
4.派遣先の情報提供資料の収集(教育訓練、食堂、休憩室、更衣室に関する情報)
5.派遣社員への労使協定の説明、新たな労働条件の説明
6.個別契約書、就業条件明示書、派遣元管理台帳等帳票類の法改正対応
7.マージン率等情報提供に労使協定の対象労働者の範囲、労使協定の有効期間を追加
上記1から4を4月1日以降に行われる労働者派遣契約を締結する前に完了させなければなりません。特に「4.派遣先の情報提供」は、労働者派遣契約締結前に提供していただかないと派遣契約を締結することはできません。
4月1日以降の派遣契約を3月上旬に締結するのであれば、2月末を目安に完了させる必要があります。
「7.マージン率等情報提供」は、ホームページを利用して提供している場合は、ホームページに追加事項を入れなければなりません。
施行日後
a.毎年7月頃に公表される次年度の一般賃金と現行の賃金テーブルを比較し、賃金テーブルを上方修正する必要があるか否かを検討。必要に応じて上記1の実施。
b.毎年8月上旬に公表される最低賃金の改定額と当年度の一般賃金0年目、当年度の賃金テーブルの0年相当を比較して最低賃金を下回る場合は、最低賃金以上となるよう賃金テーブルの修正、労使協定の変更手続き。
c.労使協定の有効期間を1年としている場合は、上記2、3の手続き。
施行後は、毎年一般賃金と最低賃金の改定に対応して賃金テーブルの見直しが必要となり、労使協定の有効期間が1年であれば、毎年、協定の更新手続きが必要となります。
読者のみなさまへ 中宮 伸二郎
1年間ご愛読いただきありがとうございました。
労基法改正と派遣法改正が連続していく重大な1年間にコラムを担当させていただき、大変勉強になりました。最終回を書き終えて、肩の荷が下りてほっとする反面、説明不足なところもあったと反省しております。
2020年は人材サービス業界激動(出井智将・ヒューコムエンジニアリング社長によれば「激同」)の年となりますが、今後も皆様のお役に立てるよう精進いたしますので、よろしくお願いいたします。