“ワーク・エンゲイジメント”に要注目!
著者:川上 憲人
大修館書店、定価1700円+税
「メンタルヘルス」という表記から、ややもすると“うつ対策”を連想するかもしれないが、本書のスタンスは、医学というより心理学に近く、「ワーク・エンゲイジメントのすすめ」とでもいうべき前向きな組織運営論が展開されている。①仕事でのポジティブな気持ち、②仕事のやりがいと達成感、③職務満足度、の3方向から考察を進め、科学的知見と手法をベースに、個々の能力を引き出し、生産的な職場を支援する仕掛けを詳述している。
主なトピックはミニ事例で解説されているので、内容の把握は容易。仕事の裁量権、上司のサポート、公正・信頼のおける労使関係、チーム貢献を認める評価制度などHR系の示唆も多く要注目だ。また、“産業医の案件”に閉じ込めず、経営・人事・管理職、あるいは部門を超えて関与・推進していくテーマだと強調されている点も興味深い。
ワーク・エンゲイジメントが高ければ、健康状態が良好に維持され、パフォーマンスも高まり、離職率も低下するとされる。先進企業の取り組み動向と併せて理解を深めたい。
(久島豊樹/HRM Magazine より)