「破綻の公式」30事例
著者・帝国データバンク 情報部
SBクリエイティブ、定価850円+税
中小企業の倒産物語を実名でレポートした事例集。信用調査実績100年を自負する著者グループは「成功に決まったパターンはないが、失敗には公式がある」と述べ、30に及ぶ事例を8つの「破綻の公式」で切り分けている。
各事例ではビジネスの概要から倒産に至るまでのストーリーを追うとともに「失敗の原則」を改めて要約。簡潔に整理された各ケースからは、粉飾決算など“それをやっちゃダメだろう”、事業再構築など“それをやらなきゃダメだろう”と思われるポイントも見えてくる。消費者の変化を見落とす、流通構造の変化に対応できない、といったよくあるパターンに加え、急成長は急転落の予兆(大ヒット商品で成功した後こそ危ない)といった盲点も指摘され、老舗もベンチャーも上場企業も、ちょっとした隙を契機に倒産に至る事情がよく分かる。
さらに、章の区切り挿入されている7つの「コラム」では「潰れやすい会社の社長の傾向、社員の傾向」「幹部の退職に注意」など人事に関わるコンテンツも綴られていて、こちらも面白く読めてしまう。
(久島豊樹/HRM Magazine より)