働き方の多様化と労働法の未来
著者・倉重 公太朗
労働調査会、定価1800円+税
労働分野の知見豊富な弁護士である著者は、今の労働法は「昭和のルール」のまま止まっていると述べ、新しい雇用社会のグランドデザインを描くために議論が必要だと熱く語っている。
正規・非正規間の格差、働き方の多様化と新卒一括採用の矛盾、定年後再雇用と人件費配分の限界、長時間労働の抑制と生産性・雇用管理の乖離など、顕在化しつつある諸問題を挙げて、現状の労働法では個々の働く人々をカバーしきれない危うさを前半で指摘。そのうえで、後半では、①雇用社会、②法律・国家制度、③企業、④働く人、の4つの視点から雇用改革の方向性を探っている。1社ではなく社会全体での終身雇用の可能性、リカレント・WLBも含む流動性の促進、フリーランスの所得保障・社会保障、手続き業務に留まらない人事の役割(納得感に配慮した戦略的施策運営等)、働き手のキャリア自律といった着目点を示し、あるべき労働法の枠組みを模索している。
HR分野で活躍するキーパーソン6名との対談を収録した最終章も要注目のコンテンツだ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)