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2019年7月 9日

【ブック&コラム】「ゲーム障害」という依存症

 「ゲーム障害」なるものが、アルコールやギャンブルなどの依存症と並んで治療が必要な病気に認定される。世界保健機関(WHO)が決定したもので、2022年から世界中の医療関係者が診断や調査を本格化するという。この新たな依存症は、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活に支障をきたす状態を指すようだが、子供から大人まで誰でも依存症に陥る可能性があるだけに深刻だ。

c190709.jpg 筆者は今でこそゲームに夢中になることがなくなったが、学生時代は、当時一世を風靡した家庭用ゲーム機に夢中になり、友人たちと連日のように明け方まで遊んでいた時期がある。昼夜逆転の生活となって無断欠席した講義もあるなど、不健全な状態にあったと思う。「ハマり過ぎだぞ」と自身に歯止めをかけたい気持ちがある一方で、起きて空腹を満たすと再び「友人と対戦する前に練習だ」とゲーム機のコントローラーを握りしめていた。

 バブル崩壊後の厳しい就職活動に臨む中で、周囲と一緒に節度のない「ゲームブーム」は沈静化していった。しかし、依存症と診断されてもおかしくない体験があるだけに、あれからゲーム機がさらに進化し、いつでも世界中の誰とでも対戦できる現在は、かつてより依存症を抱える危険性が高いのだろう。スマートフォンやタブレット端末の急速な普及も「ゲーム依存症」拡大の要因で、睡眠障害など健康を損なうケースが問題となっているようだ。

 健康問題はもちろんだが、最近、「ゲーム依存」が大きなけがや事故につながりかねない「ヒヤッ」とする光景を目の当たりにするようになった。多くの人が足早に行き交い、混雑した駅のホームで、スマートフォンを操作したまま電車に飛び乗ってくるサラリーマンや学生たち。列車とホームのすき間に躓いて、前に倒れるように乗車したにもかかわらず、何事もなかったようにゲーム画面に向かって操作を続行。屋内で陥る依存症とばかり思っていたが、屋外に広がりだしているだけに、かなり身近で厄介な病(やまい)のようだ。(博) 

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